理想は「性能の良いレンズ1本」 私のレンズに対する考え方は、「性能のいいレンズ1本でOK」というシンプルなもの。作品撮りの際にも、予備以外に交換用レンズを持つことは稀です。これはフィールドでの機動力の問題と、レンズ交換を極力避けたいという考えから。今のカメラは性能も上がっており、ダストリダクションも付いていますが、写真を台無しにしてしまうゴミはやはり怖い。現場では、レンズ付けっぱなしがベストだと思っています。 そうなると、必要なのは1本ですべてを満たしてくれるレンズです。高倍率ズームの18-270mm(モデルB008)はカバーしている画角が広く、あらゆるシチュエーションに応えてくれる理想的な1本だと思います。
 
18mm-270mm(モデルB008)のサイズと手ブレ補正
高倍率ズームのメリットに惹かれ、前機種のモデルB003から使用していますが、新しくモデルB008が登場した時の感想としては、まずフィルター径が62mmというサイズに驚きました。モデルB003と並べてみると格段に小さい! 個人的に手のサイズが小さいこともあり、カメラもコンパクトなものが扱いやすいのですが、モデルB008のサイズ感ならしっくりきますね。18-270mmの高倍率ズームということを考えると驚異的だと思います。さらに特筆すべきは、タムロンの手ブレ補正機構「VC」の精度です。ファインダーを覗いてみると、ピタッと止まる瞬間がわかる。シャッターを切る瞬間に、仕上がりが想像できるような手応えがあるんです。これは他のレンズにはなかった感覚ですね。
レンズとして当然気になってくる描写力にも満足しています。詳しくは各作品のコメントに譲りますが、こちらも性能が高いと感じました。
余談ですが、私が教えている写真教室でも、モデルB008を持っている方が非常に多い。生徒のなかにはプロを目指している方々もいて、機材の知識も豊富なのですが、そんな彼らにも選ばれているという点からも、とても使い勝手のいいレンズと言えるでしょうね。
18mm-270mm(モデルB008)で“植物のスナップ”を撮影して
具体的に撮影した写真ですが、今回は"植物のスナップ"というテーマで臨みました。
私は30年以上写真を撮っていますが、私のなかのテーマというか、イメージというか、そういった部分はまったく変わっていません。今、昔の写真を見直してみても、いい意味で変わっていないと自分で思うぐらいです。今回の"植物のスナップ"も過去に何度となく撮影してきたもの。同じようなテーマで写真展も何度か開催しています。ロケ場所に関しても「ここに行けば、こういう絵が撮れるな」と頭の中でデータ化されており、かなり明確なイメージを持って撮影に入りました。
では想定外のことはないかというと、それは違う。当然のように被写体はその時々で異なる表情を見せてくれます。加えて、私はスナップでは広角レンズを使うことが多いですし、なによりも植物を撮る際はモノクロが主です。今回のように広角から望遠までを1本でカバーするレンズに機材が変わると、撮影者である私自身の気分も変わってきますし、自分のなかでイメージしていない、新鮮なアプローチで撮影することができました。
18-270mm(モデルB008)で撮影した私の写真をご覧いただき、性能はもちろん、このレンズが持つ楽しさのような部分を感じていただければうれしいですね。

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曽根 陽一(そね よういち)
1953年、埼玉県川口市生まれ。私立本郷学園高校普通科卒業。アテネフランセ仏語学科中退。
ワークショップ写真学校・森山大道教室三期終了。商業写真等の助手を経て、1979年独立。
以後Freelance Photographer。銀座写真塾講師、ワークショップ曽根塾、写真同人誌「DRUG(ドルーク)」主宰。
http://ys-ode.net/

※曽根陽一先生は、2014年9月5日にご逝去されました。ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

*2013年3月公開