ワンクリック・コラム おしゃべりなレンズたち 各方面のフォトグラファーたちが、レンズ・カメラ・写真をめぐる、それぞれの考え・思いを自由に語る、エッセイ風コラム

土屋 勝義
土屋 勝義

1963年4月1日、東京・築地生まれ。1981年に明治大学付属中野高校を卒業後、東京工芸大学短期大学に入学(旧写大)。1983年、六本木スタジオに入社しチーフアシスタントを経て1986年に篠山紀信氏に師事、1989年独立。2011年に土屋勝義写真事務所開設、現在に至る。

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「ボクの女性撮影に欠かせないコダワリとは…」写真・談/土屋 勝義 今回はいま女性ポートレートの分野でもっとも活躍中の写真家・土屋勝義さんの登場です


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キヤノンEOS60D・タムロン18-270mm・焦点距離246mm・絞りF6.3・1/250秒・+0.7EV補正・ISO160

僕の仕事の9割は女性のポートレート撮影。もう5年以上続けているカメラ雑誌「CAPA」の表紙も含めて、雑誌の表紙やグラビアでは男性を撮ることはあまりありません。もちろん男性の撮影も得意で、「写し屋の肖像」では同世代の男性写真家たちのカッコいい写真も撮っているし、インタビューの写真などでスポーツ選手や俳優を撮ったり、街で人物スナップを撮ったりもしていますが、雑誌という媒体の仕事柄、撮るのは女性がとても多いですね。

写真を始めたきっかけは小学生のころで、たまたま一眼レフカメラを拾ってファインダーを通して見える不思議な世界に魅せられたのが始まり。その後、興味をひいたものは何でも撮っていたけれど、中学生の半ばにはもうカメラマンになると作文に書いていたほどだから、かなり本気だったのかもしれません。結局、写大(現・東京工芸大)へ進み、専攻は商業撮影だったので、将来は漠然とスタジオなどに勤めるカメラマンになるのかな、と想像していました。


事実、卒業して六本木スタジオに入社。当時は立木義浩さん、横須賀功光さん、西宮正明さん、浅井慎平さんといった、そうそうたる売れっ子のカメラマンたちがここを使って撮影をしていて、とても華々しい雰囲気に満ちていましたね。もっとも、僕らアシスタントにとっては「タコ部屋」のように苛酷な待遇だったけど(笑)。それでも六本木スタジオで働きながら最後はチーフアシスタントになり、その後、縁あって篠山紀信氏のスタジオに入り師事することになりました。いまのように僕が女性写真をメインに撮るようになったのは、やはり何といっても篠山さんの影響が大きいと思いますね。

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キヤノンEOS60D・タムロン18-270mm・焦点距離270mm・絞りF6.3・1/200秒・−0.7EV補正・ISO160

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キヤノンEOS60D・タムロン18-270mm・焦点距離25mm・絞りF4・1/13秒・+1.3EV補正・ISO320

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キヤノンEOS60D・タムロン18-270mm・焦点距離270mm・絞りF6.3・1/125秒・+0.3EV補正・ISO200


よく、女性ポートレート撮影のポイントは?なんて聞かれることがあるけど、ぼくはあまり難しく考えていない。ポートレートというのは、要は人間同士のコミュニケーションですよね。いかにその空気をつくるか、そして、その雰囲気と表情をどう写真にすくい取るか、ということだけ。それには何度も経験を重ねて自分なりに習得していくしかない。あと大事なのは、写真を撮ることを真剣に愉しむこと。それから、撮った相手に喜んでもらいたいという気持ち、これが一番大切かな。

写真って、「撮る」「見せる」「見られる」という、三つがあって初めて完結するものだと思います。最初の二つはこちら側が勝手にできるけど、最後の「どう見られているか」ということを考えるのは、相手があることだから一番難しい。写真展のときにはここにもっとも気を遣います。僕は篠山さんの「激写」で育ったから、写真展のようにたくさんのボリュームで見せる方法が好き。雑誌のグラビアなどはページの制約で2点とか3点とかで見せるわけだけど、いつもちょっと物足りない気がしています。

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キヤノンEOS60D・タムロン18-270mm・焦点距離155mm・絞りF5.6・1/3秒・−1EV補正・ISO800

そういう意味では、この2011年にタムロンのホームページ「フォトサイト」で、やらせていただいた18-270mm(B008)による「旅の鼓動―写真家の視点」(※)の仕事は楽しかった。京都を舞台にして、ストーリー性を持った20枚くらいのボリュームで存分に主人公の女性の気持ちを表現できたから。もっとも、あの時は2日で150GBも撮ったので、実はまだまだ見せたい写真はたくさんあったんです。だから、時を同じくして開催された、タムロン創業60周年記念展『写真家60人の「瞬間と永遠」』にも、そのなかから厳選して出品しました。


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キヤノンEOS60D・タムロン18-270mm・焦点距離270mm・絞りF6.3・1/40秒・+0.7EV補正・ISO160

18-270mmは広角から超望遠までを一本でカバーできるから、女性のアップの表情や遠くからの情景描写も自由自在。サイズもコンパクトなので相手を威圧せず、一番大事なコミュニケーションの邪魔になることもない。レンズ交換による撮影の中断がないため、モデルさんのノリが続いたままスムーズな流れで撮影することができました。今回、このコラムを機会に、またその未発表分を見ていただくことができて嬉しいですね。

(記事はインタビューにより構成したものです)

※『旅の鼓動―写真家の視点』土屋勝義×18-270mm in 京都
http://www.tamron.co.jp/lineup/b008/special-traveling/slide03.html