しっかり身につく「明快」レンズワーク上達講座  閉じる閉じる
焦点距離17mmはこんなシーンで活かそう
暗い所でもフレーミングが楽な開放F2.8の大口径
最短撮影距離27cmで花のクローズアップも
広角レンズでは画面の奥行を出すよう画面構成しよう
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SP AF17-50mm F/2.8 Di II EISAアワード賞受賞記念スペシャル
しっかり身につく!明快レンズワーク上達講座 第4回 大口径ズームで沖縄の彩を撮る●タムロンSP AF17-50mm F/2.8 XR Di IIを使いこなすプロテクニック
広角側では深度を生かして奥行を表現、50mm側で大口径の美しいボケによる最短撮影を楽しもう

焦点距離17mmはこんなシーンで活かそう
タムロンSP AF17-50mm F/2.8 XR Di II を持って沖縄へ行った。沖縄は何度も行っているのに、仕事ばかりで観光をしたことがない。10年ぶりに首里城、正殿の前に立つ。なんて鮮やかな赤なんだろう。純度がちがう。つい近寄ってアップで写したくなる。いや、そうじゃない。これだけのシーンだ。まずは全体を写そう。このときには17mmがものをいう。17mmと18mmは、35mm判換算では25.5mmと27mm。焦点距離の差はわずか1.5mmでも、画角ははっきり異なる。目の前の雄大なものを納めたいとき17mmはありがたい。

ニコンD80・17mmで撮影
おお、すごい色! なんて思うとつい近寄って撮りたくなる。そんなときこそ心を落ち着けて、まずは全体をねらう。それから少しずつ近づいていけばいい。雄大な被写体の全体を撮りたいときには、広角が絶対に必要になる。35mm判換算で28mmでは物足りない。限りなく24mmに近いレンズが望ましい。その点17mmは使いやすい。
ニコンD80・17mmで撮影・絞りF/8.0・1/320秒・‐0.3EV補正・ISO200・AWB・RAW
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ニコンD80・17mmで撮影 那覇からクルマで走ること1時間。コザの近くに東南植物園がある。この植物園のヤシの木はスラッと伸びてハンサムだ。緑の葉と青空の対比が南国を感じさせる。ここでも17mmの広い画角は心強い味方だ。17mmを使いこなすのには、意味のない無駄なスペースをつくらないこと。そのためにはレンズの向きを変えるだけでなく、自分が動いてフレーミングすることだ。ここではシンメトリーで造形的な面白さをねらった。
10月といっても沖縄はまだ夏。見上げると空のブルーが目にしみる。広角は広い景色を撮るときに使う。でも、それだけじゃない。縦位置にすると高さ感も表現できる。もともとスラリとしたヤシの木だが、縦位置にしたおかげでさらに際立った。また左右が対称になるように、それでいて少し崩しているので、デザイン的な面白さも出すことができた。
ニコンD80・17mmで撮影・絞りF/8.0・1/250秒・‐0.3EV補正・ISO100・AWB・RAW
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ニコンD80・50mmで撮影
地下深く広がる不思議な世界。照明はされていても、うっすらしか見えない場所も多い。開放F値が2.8のレンズにしてよかった。F4-5.6くらいのレンズだったら、暗くてファインダーが見えない。じっと動かない一匹の魚を見つけて内蔵ストロボを発光させた。水面の美しい文様の向こうに、しっかりとその姿をとらえることができた。
ニコンD80・50mmで撮影・絞りF/2.8・1/8秒・ストロボ・ISO400・AWB・RAW
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暗い所でもフレーミングが楽な開放F/2.8の大口径
那覇市内からクルマで30分ほどのところに、玉泉洞(ぎょくせんどう)という鍾乳洞がある。鍾乳洞は歩ける程度に照明されているが暗い。さすがにストロボを使わないと写せない。こんなときも開放F値2.8はありがたい。ファインダーが明るいからフレーミングに困らない。F4〜5.6クラスのレンズでは、ファインダーが暗くて、ついフレーミングが甘くなる。ファインダーが明るいのはいろいろなシーンで役に立つ。ファインダー越しにじっと目を凝らすと、明かりのない地下の池にも魚はいた。その生命力に驚かされた。


最短撮影距離27cmで花のクローズアップも
東南植物園でのこと、晴れていた空が真っ暗になる。突然の雨。スコールだ。10分ほどしたら晴れ間が出た。雨に濡れた花びらが綺麗だ。グッと寄ってみる。あれ!?まだ寄れる。そんなに寄れるのかと改めて驚くほどだ。最短撮影距離はズーム全域で27cmだから、思い切ったアップが撮れる。開放F値が明るければ、広角といえども近づいたときは背景をぼかすこともできる。絞りを開放にするのを忘れずに。広角のボケ味もとてもいい。また17mm側よりも50mm側を使うと、もっと大きく撮れる。マクロレンズには及ばないが実用上は十分だ。花心にピントを合わせる。質感が手に取るようにわかる。でも気をつけよう。植物図鑑を撮っているわけじゃない。あくまでも写真的なよさがなければいけない。

ニコンD80・50mmで撮影
ズーム全域で27cmまで寄れる。これは嬉しい。開放F値が2.8だから、グッと近寄ると被写界深度を浅くして、広角でも背景をボカすことができる。しかもボケ味は、ズームとは思えないほど素直だ。雨上がりなのと逆光だから、しずくがキラキラと輝いて美しい。17-50mmの描写は、クリアでヌケがいい。こういう繊細なシーンで撮るとレンズの実力がわかる。
ニコンD80・17mmで撮影・絞りF/2.8・1/200秒・ISO100・AWB・RAW
ニコンD80・50mmで撮影
同じマクロ域での撮影でも、50mm側を使うと倍率が上がり、よりアップで写せる。花心の部分にピントを合わせる。ここは慎重に行ないたい。手持ちの場合、ピントを合わせた後は、サッとレリーズする。待っていると身体が動いてピントが甘くなってしまうからだ。手ブレが心配だが、よく晴れているのでF/5.6でもシャッター速度は1/320秒だった。
ニコンD80・50mmで撮影・絞りF/5.6・1/320秒・‐0.3EV補正・ISO100・AWB・RAW
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広角レンズでは画面の奥行を出すよう画面構成しよう
10月だというのに夏色の小道。光と影のコントラストに沖縄を感じる。最後に一言アドバイスしたい。広角を使いこなすには、レンズを振り上げたり振り下ろしたりするばかりでなく、レベル(水平)を出せるときにはピシッと決めることだ。振り上げたり振り下ろしたりしたときの遠近感は天地につく。立体感は天地ではなく、奥へとつけられるようになると上級者だ。そのときレンズは身体の一部になる。平凡な景色でも、見え方が変わる。SP AF17-50mm F/2.8 XR Di II は、空気感が伝わる、温度が伝わるレンズだ。使う側もその能力に応えたい。

道/ニコンD80・17mmで撮影
いつかどこかで見たような景色。なんともいえない懐かしさ。ありふれたものが、そんなふうに感じられたら、感性が研ぎ澄まされてきた証拠だ。そうなったらもう上級者。レンズも上や下に振り回さないで、水平レベルをきちっと出して撮ろう。それが大人の撮り方だ。夏の暑さが伝わってきただろうか。
ニコンD80・17mmで撮影・絞りF/8.0・1/250秒・ISO100・AWB・RAW
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阿部秀之(あべ・ひでゆき) 阿部秀之(あべ・ひでゆき)
東京生まれ。ヨーロッパの風景、ポートレート、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆を始め、現在、アサヒカメラに「そうだったのか!デジタル一眼レフ」、月刊カメラマンに「お写べり撮っておき」を連載中。1987年よりカメラグランプリ選考委員。フォトエキスポ講師を歴任。撮影だけでなく、技術的な解説も得意。