TCFDへの対応

気候変動に対する考え方

タムロンは、TCFDの趣旨に賛同し、推奨されているフレームワークの整備と気候関連の情報開示に対応していきます。

ガバナンス

タムロンは、気候変動を重要な経営課題の一つとして認識しています。気候変動を含むリスク対応に関する方針や目標及び重要事項は、社長を委員長とし、副委員長であるCSR統括責任者を含む全ての常勤役員と部門長であるCSR管理責任者を委員とするCSR委員会で審議・決定しています。 また、重要な事項は取締役会に報告し、取締役会の監督が適切に働くよう体制を整えています。更に、CSR委員会では、「環境ビジョン2050」における目標の進捗確認を行っています。

リスクマネジメント体制

経営戦略

タムロンは、「1.5℃」のシナリオを用いてリスクと機会の評価を行いました。リスクと機会は下記の表の通り認識しています。また、持続的な企業活動を行うためには、脱炭素社会へ移行する世界の取り組みに貢献していく必要があります。そのためタムロンでは、「環境ビジョン2050」を策定しています。2050年までにCO2排出量をゼロにすることで持続可能な地球へ貢献していきます。

リスクと機会

分類 項目 事業インパクト 発現時期 可能性 影響度
移行リスク 炭素税負担
再生可能エネルギー
・炭素税負担と再エネ購入による費用増加のリスク
➡ 1.5℃シナリオ(NZE2050、WorldEnergyOutlook2021)を基に、2030年の当社CO2排出量と炭素税負担、再エネ購入額を試算したところ以下費用増加のリスクがあります。
・炭素税の負担増による事業コストの増加
309百万円/年(内訳:日本81百万円、中国215百万円、ベトナム12百万円)
・2015年比30%削減のために必要な再エネ購入の負担増による事業コストの増加
23百万円/年(内訳:日本17百万円、中国1百万円、ベトナム3百万円)
短期~長期
評判 ・ 脱炭素社会への移行に対応できないことによる企業価値の棄損、取引停止リスク
➡当社グループは、「環境ビジョン2050」に基づき脱炭素社会に対応していきますが、仮に当社の対応にステークホルダーからの懸念が生じた場合には、企業価値の棄損や取引停止等により売上高が減少するリスクがあります。
中長期
物理的リスク 自然災害による事業活動の停止 ・自然災害の甚大化(洪水・集中豪雨)による工場操業停止、サプライチェーン寸断による製品供給停止リスク
➡ 生産拠点(国内3、海外2(中国1、ベトナム1)を対象にリスクを評価した結果、洪水(河川氾濫)による将来的な操業リスクの変化は限定的であることを確認しました。
➡ サプライチェーンに関する短期気候変動リスクについては、BCP(事業継続計画)で対応していきます。
長期
機会 インフラ点検用のレンズの需要拡大 ・防災・減災などの社会のレジリエンス向上に貢献するインフラ点検に使用されるレンズの売上高の増大
➡ 中長期的な成長機会として捉え、経営戦略に反映し活動していくことで、売上高の増大を目指します。
中長期

1.5℃目標シナリオ

1.5℃目標の世界では、①再生可能エネルギーコストの増加、②炭素税の導入を想定しています。
2050年の目標を達成するために2030年は、2015年比CO2排出量30%削減の目標を設定していますが、達成のためには、再生可能エネルギーの調達が不可欠です。再生可能エネルギーは、通常の電力よりコストが高いため、財務的な影響をもたらします。また、当社は、今後持続的に生産量が成長して、電力量が増加することを想定しています。
但し、再生可能エネルギーの導入や省エネによる炭素量の削減により、炭素税負担額の削減を図っていきます。
シナリオ分析結果に基づくリスクと機会はリスク表の通り認識しています。

リスク管理

当社グループは、毎年、タムロングループ全体を対象範囲として気候変動や人権を含むリスクの抽出、影響度と発生可能性の観点からのリスク評価、対応策の策定・モニタリング等を行っております。また、企業経営に重大な影響が想定されるリスクは重点対策テーマとして特定し、対応策を検討・実行しております。進捗状況はリスクマネジメント委員会並びにリスクマネジメント検討委員会にて定期モニタリングを通じて確認がされ、必要に応じて対応策等を見直すこととしております。

指標と目標

当社は、気候変動に対する指標を、当社における温室効果ガス排出量の98%を占めるCO2排出量と定め、目標管理を行っています。
「環境ビジョン2050」では、2050年までに自社の事業活動におけるCO2排出量ゼロを目指し、2030年までに30%削減する目標を設定しています(2015年比)。
また、間接排出量(以下スコープ3)の算出を継続して行っています。カテゴリ1(購入した製品・サービスにおける排出)の排出量が最も多く、 スコープ3全体の約7割を占めています。 今後は、スコープ3に対する目標設定を視野に入れ、 削減を検討していきます。

目標・実績

CSR重要課題 2022年実績 2023年/中期目標
CO2削減 CO2排出量(Scope1、2)
2015年比 15.1%削減(目標6%)
CO2排出量(Scope1、2)
2023年:2015年比 9%以上削減
2030年:2015年比 30%削減
2050年:2015年比 100%削減